ゼミ紹介

和歌文学、鎌倉・室町時代の文学(前田 雅之ゼミ)

研究テーマ

前田ゼミ イメージ画像

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 今日、<古典>(室町期までなら「古今集」「伊勢物語」「源氏物語」「和漢朗詠集」でしょうか)は、単なる暇つぶしの材料か、大学受験の一科目に堕してしまいましたが、近代以前は、漢詩と並んで一人前の大人として見なされるための基本的素養でした。< 古典> はどうして続いてきたのか、近代以降どうじて見捨てられたのか、などなど< 古典> をめぐる諸問題を記憶連想、注釈行為、書物等から考えていきたいと思っています。それは日本とは何かを問うことと同義です。

前田ゼミってどんなゼミ?
紹介してくれるのは国語教員をめざす陣野原 聖那(じんのはら せいな)さんです
Q
前田先生って、どんな人?
A

 中古・中世文学・和歌文学を専攻としている国文学者です。ゼミでは、最初に先生がお手本を披露し、わたしたちの誤った解釈には的確に指導してくださるのでとても学びやすいです。人柄は、来るもの拒まず去る者追わずというスタンスからクールな印象を受けますが、欠席した学生を気にかけるやさしさもあります。あと、怒った姿を見たことがありません! 先生曰く、自分の怒った顔が滑稽であるゆえ、あまり表には出さないようにしているらしいです(笑)。シニカルな表現が持ち味ですが、雪の日に転んで身体を痛めた報告をされるなど、ユーモラスな一面も持ち合わせた個性的な先生です。

Q
前田ゼミならではのポイントを3つあげてください
A

①中世日本の恋愛模様がわかる:
『古今和歌集』には恋愛をテーマにした歌が数多く収められています。これは海外の詩にはあまり見られない、和歌ならではの特徴の一つでもあります。当時の人のさまざまな恋愛観に触れ、今の男女にも共通する心情や現代とはかけ離れたシチュエーションなど、比べてみるのも面白いでしょう。
②世界に詳しくなる貴重なゼミ:
近代ヨーロッパと近代日本についてより深く学ぶことで、比較文化の面白さに気づかされます。理解のあとに新たなテーマが見えてきます。
③解釈の違いで変わる歌の印象:
 解説する人の捉え方の違いを比較する楽しさがあります。中には個人的な妄想が入っていたり、他人の訳を批評するようなケースも。主観が入りすぎた解釈には、「おおげさすぎる!」と先生が正当にツッコミます。ちなみに前田先生の訳は原文に忠実で、大変わかりやすいです。
③古文の現代語訳の能力がUP!:
 古文(たまに漢文)の現代語訳の練習に最適です。

Q
前田ゼミでの研究テーマについて教えてください
A

 二年次に取り上げるのは『宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)』です。今昔物語集と並ぶ中世日本を代表する説話集で、目が不自由な妻と不細工な夫を描いたコミカルな物語や占いに狂信する説話など、興味深い作品が多数収められています。
 三年次は『古今和歌集』。平安時代の前期に紀貫之らによって編まれた日本で最初の勅撰和歌集で、後の文芸作品に大きな影響をもたらしました。その特徴の一つが恋の歌で、千首を超える作品中、「四季」をテーマにしたものと併せると半数を超えます。ゼミでは、現代語に訳す作業を通して中世文学への理解を深めていきます。

Q
その中で陣野原さんが研究していることは?
A

 『古今和歌集』の注釈の訳を行ったあとに現代語訳と見比べ、実際に自分で和歌を訳していきます。第一印象では何を表現した歌なのかパッと想像することができませんが、注釈や現代語訳を通して、次第に自分の中で作品のイメージがつくり上げられていきます。そこがこの研究の面白いところです。
 ただ、わたしが苦手としているのは漢文で、注釈の中に漢文が現れると途端に意味不明に陥ってしまいます(笑)。恐る恐る自力で訳して先生にお見せするのですが、自分の解釈が先生のものと似通っている時はホッとして嬉しくなります。

Q
卒業論文のテーマは何にするつもりですか?
A

 『忠度集(ただのりしゅう)』を題材にしようと考えています。これは平家一門の武将で歌人でもあった平忠度の歌を集めた家集で、「春・夏・秋・冬・恋・雑」の6つの主題から構成されています。忠度自身については確かな史実が乏しい謎に包まれた人で、歌も生涯で百首ほどしか詠んでいません。わたしがこのテーマを選んだ理由は、作品自体がそれほど知られていないため、論文の題材に取り上げようとする人が少ないからです。過去にもほとんど例がないので、多少失敗しても比較されずにすむかな、と(笑)。それは冗談ですが、あわよくば人が踏み入れたことのない未開の地を切り拓けるのでは、というささやかな野心も…(笑)。和歌の現代語訳や解釈を中心に書き進めていく予定です。

Q
まだゼミを知らない後輩や高校生へメッセージをお願いします
A

 大学では、自分が好きなもの、興味があるものについてとことん調べたり研究することができます。「自分には何も興味がなくて…」とぼんやり日々を過ごしている人でも、講義を真剣に受けているうちに疑問や気になることが自然にわいてくるでしょう。最初は「ただなんとなく」といった感じで始めたものでも、真剣に向き合ううちにわかることが増えてきて、やりがいや面白さが見出せるはずです。わたし自身、高校時代は古典が苦手でした。でも日本文化学科で学ぶようになってからは、「昔の人はこんなふうに考えていたのか」など古典の面白さがわかるようになりました。ですから、一生懸命に取り組むことを心がけてほしいと思います。