ことばと文化のミニ講座

【Vol.14】 2006.6   元本学科教員 井上 英明

コクゴとジャパニーズ

人間は種族や国籍や生まれ育った文化によって感じ方、考え方が違います。数学や物理学などには万国共通の数式という普遍的な記号がありますが、日本人の数学、日本語で考え抜かれた物理学でないと独創的な閃きによる研究はできないそうです。人間を生物学的にみれば男性と女性は違いますが、言葉による表現はそれぞれの言葉を生み、育んできた文化によって大いに異なります。

英語は英国で発達し、公用語となり、世界中心にひろがったすぐれた言語の一つです。南アフリカ、インド、シンガポール、豪州、ニュージーランド、カナダ、そしてアメリカの国語となってしまいましたが、どの国に行っても、Englishとよばれています。日本でもイングリッシュ又はエイゴです。これは一説にイングリッシュという名称がかつてイングランドの王様の領土で話された言葉から来ているからだといわれています。イングリッシュはどの国語に使用されても名称が変わらないブランド中のブランドなのです。

皆さん考えて下さい。日本語は日本国内ではコクゴといいますが、外国に一歩でも踏み出せば、コクゴはもとよりニホンゴという言い方も消えて、英語圏ではジャパニーズとなってしまいます。なぜニホンゴと言ってくれないのか。こんな平凡な事実に日本語と日本文化の密接なかかわりがあるのです。私の授業ではこうした問題を強く意識しながら、日本の古典文学(主として平安時代物語)を皆さんと一緒に読みたいと思います。

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