教員紹介

向後ゼミ

向後 恵里子

向後 恵里子

向後 恵里子 准教授

(日本近代美術史、視覚文化論、表象文化論、イメージの歴史)

早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻博士課程/単位取得退学(2010年)
早稲田大学美術史学会、美術史学会、明治美術学会、大正イマジュリィ学会、早稲田 表象・メディア論学会、表象文化論学会所属
研究会: 美術・視覚文化研究会

研究の紹介

私は美術や視覚文化、表象文化、イメージの歴史を専門としています。研究の対象は、芸術作品だけでなく、マス・メディアや都市空間など、ずっと残るものから消費されて消えてしまうものを含む、様々な視覚イメージです。ようは「ひとはなにを見てきたのか?」「それはなにか?」「どのように、またなぜ?」という問いにこたえよう、そして人々は「イメージを見ること」を通してどのように変容したのか/し得るのかについて考えてみよう、というのが、現在私の目指すところです。
 そうした関心から、社会のなかにおけるイメージ、とりわけ日本の近代における戦争や暴力、破壊、また記憶と忘却にまつわるイメージについて研究しています。近年は日露戦争の表象について調べています。明治30年代・20世紀初頭の当時においては、様々なビジュアル・メディアが戦争の様相を人々に伝え、物語りました。そうした媒体には錦絵もあれば、新聞、雑誌、絵葉書、絵画もあり、また油画、日本画、水彩画、スケッチ、写真、といった具合に、その表現方法も多岐にわたります。またイルミネーションで街を飾りつけ、凱旋ページェントに感涙するような人々のふるまいも、戦争という文脈で息づくイメージを伝えてくれます。
 日本の近代はそれほど遠くない過去ですが、そこに生きた人々は、もちろん今日の私(たち)とは様々な点で異なる社会・文化的背景を持っています。身近であり、また遠くもある〈隣人〉のように、彼らが見たもの、その中で生きたイメージを、一緒に眺めつつ、粘り強く真摯に、「いったい彼らはなにを見、〈自分たちはなにを見た〉と思ったのか」について考えていきたいと思っています。

学生へのメッセージ

 大学生活では、想像力を自らのばす、ということを大切にしてもらえたらと思います。想像力は、妄想とは違います。独りよがりの狭い視野からは育ちません。栄養を自分の中だけからとっていたら、いつか立ち枯れてしまうものです。どんどん自分の心と頭に栄養と刺激を与えましょう。自分をゆさぶってください……その経験は、きっとあなたに広く深い視野をもたらし、自分なりの想像力を育む土壌を作り出すでしょう。

向後先生の横顔
 ゆったりとした生活のリズムが流れる利根川の河口で生まれ育ったせいからなのか、向後先生には懐の深さを感じる。こどもの頃から本と歴史が好きだったという先生に、なぜ研究者の道を選んだのかお聞きしたところ「あまりにも何も知らないから」と答え、続けて、もし研究者になっていなかったら?と問いかけると「私は一人前になりたくてずっと研究を続けています。あれもやりたい、これもやりたいという好奇心の広がりが、新たな研究ステージにつながっているんです」と笑った。
 向後先生の専門は「ビジュアル・イメージ」。わかりやすく言えば、油絵や日本画などの絵画作品をはじめ、写真・雑誌・テレビ・映画など、目に飛び込んでくるすべてのモノやコトが研究の対象となる。たとえば「美術」というと、誰もが国宝のような素晴らしい作品の世界を思い起こす。しかし、一方では大衆性の高い漫画のような世界もある。国宝も漫画も、どんな時代を背景にその作品ができあがったのか、その世界を支える多様な文脈を見る必要がある。「美術」的活動のなかにも、人々の暮らしのなかに役割をもって存在するものがある。そこに「視覚文化」という研究領域が生まれた。美術・工芸・大衆文化といった区分を超えて、いろいろな領域を横断しながら、観る・触る・感じることが「視覚文化」の研究では大切だという。
 「私の役目は学生の好奇心の扉を少し開けてあげること。すぐに答えをもとめるのではなく、じっくり考えることが、生きていく力になっていく。わからないことがあってもいい。自分には何ができるだろうか、何が面白いだろうか、そう考えることが学問の基本です。そこから飽くなき探求心を育めれば、それは一生の財産になります。壁に閉ざされたときに諦めない力。自分で成長していける力。人と世界とそれをつなぐ文化を学んで、自立した大人になってもらいたい」。向後先生からのエールは熱い。

業績・著書

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