ことばと文化のミニ講座

【Vol.102】 2016.10   青山 英正

「日本文化研究」で津・松阪・伊勢に旅行しました。

※今回はミニ講座特別版として、旅して学ぶ授業「日本文化研究」のご報告を青山先生よりいただきました。


日本文化学科では「体験しながら文化を学ぶ」ことを重視していますが、そんな本学科の看板科目の一つが、「日本文化研究」です。これは、半年間事前学習をした上で、夏休みに学科教員と旅をし、現地でしか見られないものを実際に見ながら、その地域の文化について学ぶ授業です。

今年度は、私青山が、「国学」をテーマにした授業をおこないました。「国学」は江戸時代に興った学問で、日本の古代の姿を明らかにしようとしただけでなく、この宇宙の始まりについても考えようとしました。代表的な国学者に、本居宣長、平田篤胤といった人たちがいます。

その平田篤胤が、わが明星大学のある日野市程久保で起こった、子供の生まれ変わり事件に注目し、『勝五郎再生記聞』を著作にまとめたことについては、すでにこのミニ講座vol.59「ほどくぼ小僧の話——生まれ変わった勝五郎」で紹介したことがあります。
https://www.jc.meisei-u.ac.jp/action/course/059.html

さて、今期の授業では、まず全員で篤胤の『勝五郎再生記聞』を読み、5月24日に、事件の舞台となった程久保を、日野市郷土資料館の北村澄江さんのご案内で実地調査しました。


次いで後半の授業では、篤胤が多くを学んだ国学者本居宣長に光を当て、彼が住んだ松阪(三重県松阪市)と、彼の思想の源泉の一つとなった伊勢神宮(三重県伊勢市)について学習しました。

そして、その実地調査として、夏休みの最後の週にあたる9月6~8日に、受講生16名とともに2泊3日の日程で、三重県への旅行を実施しました。

まずは津市にある三重県総合博物館で三重県の全体像を把握し、同市の石水博物館で宣長自筆資料などを見せていただきました。その夜は松阪に宿泊。夕飯は皆で松阪牛に舌鼓を打ったことは言うまでもありません。

翌日は班別自由行動。松阪市内をめぐった班、月読宮といった伊勢神宮の別宮に参詣した班、二見浦で禊のついでに恋愛祈願をした班、伊勢湾海洋生物の調査と称して鳥羽水族館を満喫した班など、それぞれ充実した時間を過ごしたようです。

最終日はいよいよ伊勢参宮。せんぐう館で伊勢神宮の歴史を確認し、正殿の構造などについての説明を受けた後、外宮、内宮の順に、正宮はもちろん神域内の別宮にもあわせて参詣しました。



内宮参詣後、昼食に向かったおはらい町で突然豪雨に見舞われましたが、それもまもなく止み、伊勢音頭に、「お伊勢参らば朝熊(あさま)をかけよ、朝熊かけねば片参り」と謡われる朝熊山金剛證寺に予定通り参詣。江戸時代は、お伊勢参りの後にこの朝熊山に参詣するのが一般的でしたので、それに倣って少し足を伸ばしてみたわけです。

内宮の背後にそびえる朝熊山は、古来より山岳信仰の聖地で、いわばあの世との境界です。現在も巨大な卒塔婆が無数に建っていて、見る者を圧倒します。



二つの台風の直撃が危ぶまれた今回の旅行でしたが、幸いにして参詣中はほとんど雨に降られることがなく、最後に朝熊山山頂の展望台に着いた頃にはすっかり晴れ上がって、伊勢平野を眼下に一望する素晴らしい景色を楽しむことができました。僥倖というより、これぞまさしく神のご加護でありましょう。

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