特色ある学び

観劇から始まる体験学習

ゲスト講師 ミュージカル俳優 田村 良太さん

 日本文化学科の特徴の一つに「体験教育」があります。座学(=通常の講義)だけでは理解しづらい「芸術・文化・風習」などについて、自ら体験・体感することでその本質に迫ろうとする、本学科の伝統的な学修スタイルです。入学の1年次に行われるのが、恒例となった「観劇」前の体験学習。平成27年度は「ミュージカルの金字塔」と呼ばれる名作「レ・ミゼラブル」(当年4月より帝国劇場で開幕)の主題歌「民衆の歌」を指揮者・ピアニストの先生ご指導のもと2回にわたって実習し、劇場に臨みました。この時の体験学習はどのようなものだったのか? 2回目に特別ゲスト講師としてご来学頂いたミュージカル俳優・田村良太さん(今期公演マリウス役)にお話を聴きました。


日本文化学科の体験学習の講師を引き受けられた経緯についてお聴かせください。
 旧知の(たまたま姓名が似ている)田村良平教授からお話を頂きました。「観劇前に学生たちへ作品の魅力を伝えてほしい」と。僕自身、「慈愛・利他・許し」といったこの作品に宿るメッセージがとても好きで、それをお客さまと共に感じ合いたいという思いが強くあります。
そのためには予習も必要、ということですね。
 はい。歌やあらすじを押さえておくなど、ある程度は事前に知っておいたほうが理解しやすいし、得るものも大きいはずです。たいへん有意義な授業なので、自分も何か貢献できれば、と思いました。
役者さんにとっても、そうして舞台に臨んでもらえたほうが嬉しいですよね。
 ミュージカルは全編を通して「歌」で構成されているので、慣れないと部分的に聴き取れなかったり、一度観ただけではわかりづらいところもあると思います。もちろん、事前知識がなくても色々な魅力は感じ取れますが、それだけではもったいないですよね。せっかく観に行くのですから。
今回の体験学習はどういった内容でしたか?
 まず入学したばかりの1年生の方々を対象とした講義であること。劇場でみなさんが実際に体験するのは「歌」です。第1幕の後半で歌われ、第2幕の末尾で繰り返される代表的な楽曲「民衆の歌」を、男子と女子がソプラノ・アルト・テノール・バリトンに分かれて混声合唱します。学生たちはすでに1回、プロの先生から指導を受けていますから、2回目はそこにアンジョルラス役として僕も加わり、全員で歌い上げました。加えて、田村教授との対談です。テーマは「レ・ミゼラブル」とミュージカルの楽しみ方について。途中で2曲、ほかの登場人物の歌ではありますが、僕が歌わせて頂きました。

「彼を帰して」と「オン・マイ・オウン」。2曲とも素敵な歌ですね。
 「彼を帰して」はジャン・バルジャン、「オン・マイ・オウン」はエポニーヌが想いを込めて歌い上げる切ないバラードです。ミュージカルの挿入歌というのは物語の流れの中の一部ではありますが、この2曲は単独で聴いても充分に成立しています。
今回の指導を通じて、良太さんが感じたことをお聴かせください。
 堅苦しくならないように心がけましたが、リラックスしてくれているようで安心しました。「やらされている」のではなく、自分から積極的に参加している感じが強く伝わってきました。日本文化学科の学生さんは素直で品があり、おとなしい印象でしたけれど、授業のあとみんながワーッと集まって来てくれたので(笑)、楽しく学べたのかな、と思いました。本番もこうした楽しめて頂けたら幸いです。
最後に、このHPをご覧の若い方々へメッセージをお願いします。
 僕も「レ・ミゼラブル」のオーデションへ向けて、ステップアップには相当な時間を掛けました。「自分を磨くための準備」は決してムダになりません。やりたいことを見つけたら、そのために何をすればいいか、逆算して計画を立て、それ以外はすべて捨てるくらいの気持ちで一心不乱に取り組むこと。そうすれば必ず自分の夢に近づきます。自分を信じてがんばりましょう!

《田村さんの詳細情報はこちら》

田村良太さん公式ブログ
http://ameblo.jp/ryota-tamura/
所属事務所
http://www.puerta-ds.com/

体験学習のポイント 田村良平 教授

 どんなジャンルであれ舞台を鑑賞するには、劇場入りに際してモチベーションを高めておくのが何よりも重要。オペラやミュージカルといった「歌モノ」の場合、作品を代表する歌を1曲でも知っているかどうかで観劇の印象は大きく変わります。ですから、まず第一に、事前に楽曲に親しんでおくこと。第二に、演者に興味を持つこと。演目や劇場環境はもちろんですが、舞台鑑賞の興味の多くは「演ずる人」の魅力です。今回の「レ・ミゼラブル」ならば「マリウス・ポンメルシーという役柄」ではなく、「俳優・田村良太が演じて血を通わせるマリウス」を観に行くのです。日本はおろか世界のどの国にも本学科ほど懇切丁寧な体験学習を積んでから「レ・ミゼラブル」を見に行くところはないと自負しますが、こうした事前学習は舞台を十二分に楽しむには極めて有効な手段だと思います。


2014(平成26)年の体験者 3年 高木 智裕さん

 日本文化学科の特徴の一つに「体験教育」があります。座学(=通常の講義)だけでは理解しきれない「芸術・文化・芸能・風習」といった分野について、自ら体験・体感することでその本質に迫ろうとする本学科の伝統的な学修スタイルです。体験学習から多くの発見と感動を覚えたという先輩に、その内容や意義について話を聴きました。


高木さんは平成25年に体験学習をされていますが、そもそも体験学習とはどのようなものなのでしょうか?
 入学直後、1年次の春に行われます。具体的には、「観劇」前後の事前・事後の学習で、僕の年はミュージカルの金字塔=「レ・ミゼラブル」が題材でした。実際に体験するのは挿入歌の合唱です。観劇にも、ミュージカルにも、この授業の面白さにもすっかり魅了されてしまい、翌年の「ミス・サイゴン」では教授のお手伝いを申し出たほどです(笑)。
それまでに「レ・ミゼラブル」を観たことはありましたか?
 小さい頃、母に連れて行ってもらったみたいです。もちろん内容は憶えていませんが、「民衆の歌」は心に残っていて、映画化された「レ・ミゼラブル」で耳にした時に記憶が呼び起こされました。「あ、この曲、知っている!」と。「観劇の前に1曲は知っておきましょう」と田村教授がいわれるように、僕の場合はそれがあったので体験学習にもすんなり入り込んで行かれたと思います。
ただ、何の前知識も関心もない学生もたくさんいるわけですよね。
 はい。僕がいま親しくしている仲間たちも、入学当初はミュージカルにまったく興味がなかったようです。そんな子が事前学習のあとにCDを借りて、さらにダウンロードするほど虜になっていました。「民衆の歌」以外にも心が惹かれる歌がいっぱいありますから。その頃はいつも誰かしら挿入歌を口ずさんでいる、そんな感じでした。
体験学習のメリットは何でしょう?
 予め一つの見解を持って鑑賞に臨み、実際に観て新たな考えが膨らむのでとても素晴らしいと思います。そのためには1曲は知っておくこと、これが本当に大きいです。その備えがあれば、次はこんな歌詞だとか、次に繰り返しだとか、自分も参加している気分になれます。たとえば役名もない役者さんに目を向けても、主演に負けず劣らず表情が豊かで、「ほかの共演者たちと心を合わせて動いているのだな」というところがわかります。

体験学習を通して感じたこと、新たに発見したものは何ですか?
 まず、人前で大きな声で歌うことってそんなにありませんよね。それを、まだキャンパスにも周囲にも打ち解けていない入学したての春に行うということ、また、一学科全員で臨む共同作業であるという点も意義深いと思います。発見ということでいえば、たとえば「レ・ミゼラブル」という作品は1862年に書かれたもので、日本はまだ明治維新の前です。そんな古典の中にも「いまにつながるものがある」ということが新鮮な驚きでした。明星大学ならではの体験学習の良さをもっと多くの人たちへ伝えたいですね。
体験学習を終えて今後は何をしていきたいですか?
 発声やお芝居に興味を持ち養成所に通って練習しました。それがイコール、ミュージカルにはつながりませんが、自分自身が追求したいことがより明確になってきました。僕は人と話すのがとても好きなので、将来はことばに関わることをしたい、と考えています。
最後に、高校生へ向けてメッセージをお願いします。
 誰もが、何かしら興味ややりたいことがあって進学すると思います。いまはまだ原石でも、この学科には充実した施設と貴重な資料、何でも教えてくれるやさしい先生がいます。興味があることは事前に調べておくといいでしょう。その際、「こんなヘンなことを考えているのは自分だけ?」などと思わずに、その疑問の種を大事にとっておいてください。そして2年、3年と進むうちに頭を柔らかくして、いろいろな角度から見てほしい。そうすることで心も頭もどんどん豊かになっていくと思います。